前回の記事で、現代人は脳と胃腸に負担をかけ過ぎている方が多く、自覚なくエネルギーを消耗してしまっていることについて述べました。
今回は、燃費の悪い車がガソリンを大量に消耗するように、身体のエネルギー効率の悪さによって、結果的にエネルギーを消耗してしまうケースとして、2つのパターンついてお伝えしていきます。
エネルギー効率が悪くなる原因①冷え
まず1つ目は、冷え(血液の流れの滞り)によって、エネルギー効率が悪くなってしまうケースです。
運動不足、身体を冷やすファッション、シャワーだけで湯船に入らない入浴方法の習慣化、食べ過ぎ※、などの影響によって、現代の女性は身体が冷えきってしまっている方が少なくありません。
(※食べ過ぎが習慣化していると血中のコレステロール値が上昇します。すると、血液が粘っこくなるので血液の流れが滞り、冷えやすくなってしまいます)
血液には、細胞に栄養や酸素を供給し、炭酸ガスや老廃物を運ぶ働きがあります。
そのため、血液の循環が悪くなると、必要なものが運ばれず、不必要なものが排出されない状態(毒素が蓄積した状態)になってしまうため、身体のエネルギー効率が低下してしまいます。
また、子宮や卵巣にとっても冷え(血液の流れの滞り)は大敵です。
なぜなら、子宮や卵巣は物理的に血流が滞りやすい臓器だからです。
女性の骨盤の中には、子宮や卵巣、その他にも尿道や膀胱、腸などさまざまな臓器がぎっしり詰め込まれており、血管も複雑に入り組んでいます。
それだけでも、子宮や卵巣は冷えやすい臓器と言えるのですが、それに加えて、一日中、椅子に座り続けるデスクワークで骨盤が固くなっていたり。
運動不足によって身体を支える筋肉が弱り、内臓が下垂して子宮や卵巣を上から圧迫してしまうと、骨盤内の血液の流れはより悪化していきます。
子宮や卵巣の細胞に栄養や酸素を供給したり、炭酸ガスや老廃物を排出できるのも血液のおかげですから、その流れが滞れば、これらの臓器の機能が低下したり、病気になる可能性も高まってしまうでしょう。
冷え(血液の流れの滞り)は、身体のエネルギー効率を低下させ、もともと物理的に血流が滞りやすい子宮や卵巣にも負担をかけてしまう。
エネルギー効率を悪くする原因②頭熱状態
頭熱状態とは、脳の熱をスムーズに放出することができず、慢性的に頭に熱がこもってしまっている状態のことです。
多くの現代人の脳は、膨大な量の情報処理や思考の暴走による負担で疲労しています。
負担をかけた分しっかり休ませてあげれば問題ないのですが、現代人の脳への負担や刺激は増える一方で、疲労を回復できていない方がとても増えています。
実は脳の疲労と「頭熱状態」との間には密接な関係があるのです。
睡眠、脳疲労、頭熱の関係
私たちは、自律神経の働きによって「睡眠時に脳を冷やす」ことで疲労を回復していることをご存知ですか?
脳は精密機械のパソコンと同じように、熱に弱い性質があります。
例えばパソコンは、同時に複数のタスクを処理しようとすると、負荷がかかって熱を持ちますよね。
あなたもパソコンが「ブーン」という派手な音をたてるのを聞いたことがあると思いますが、あれは、熱暴走によってパソコンが壊れないように冷却ファンが作動している音です。
「頭に血が上る」という言葉が物語っているように、パソコンと同様、人間の脳も活動中熱をもちますので、定期的に冷やし、疲労を回復してやる必要があります。
とはいえ、私たちの身体にはパソコンのような冷却ファンが搭載されているわけではないので、自律神経の働きによって「睡眠時に脳を冷やす」ことで疲労を回復するシステムが備わっているのです。
例えば子どもは眠くなってくると、手足が温かくなります。
これは手足に血液を流すことによって、脳の熱を末端へ逃がし、冷やして回復しようとしているのです。
しかし、多くの現代人は、脳に負担をかけ過ぎるライフスタイルや、冷え、ストレスなどの影響で自律神経を乱していることが多く、睡眠時の冷却システムが正常に働いていないことがあります。
すると、脳の熱がスムーズに放出できなくなり、疲労が取れ難くなってしまうのです。
自律神経が乱れ、脳の疲労が蓄積している方の頭部は、頭に血が上った状態が続くことで脳の圧力が高まってしまうせいか、大抵の場合、非常に固く、熱がこもった状態になっているため、菊地屋ではこれを「頭熱状態」と呼んで注意を促しています。
もしもあなたが、以下の症状に心当たりがあるのであれば、頭熱状態になってしまっている可能性が高いと言えます。
疲れがとれない。
だるい。
眠い。
朝、目覚める時にすっきり起きることができない。
眠りが浅い。
あまり眠れない。
布団に入っても手足が冷たくてなかなか眠れない。
頭が固い
のぼせがひどい
「すべての疲労は脳が原因」というタイトルの本もあるように、頭熱状態によって脳の疲労が蓄積していくと、全身の疲労感が抜けないことはもちろん、司令塔である脳全体の機能が低下してしまうため、エネルギー効率が悪くなってしまいます。
個人的には、日々増え続けている原因不明の病気も、脳の疲労が関係している可能性が高いのではないかと考えています。
自律神経が乱れがちの現代人は、睡眠時に脳の冷却システムが正常に働かなくなっていることが多い。
すると、脳の熱がスムーズに放出できなくなり疲労が取れ難くなる。
結果的に頭熱状態になってしまっている。
ということで、前回の記事で脳と胃腸の活動にエネルギーを消耗しすぎているケースをお伝えし、その流れから今回は「冷え」と「頭熱状態」によって、身体のエネルギー効率が悪くなってしまっているケースをお伝えしてきました。
現代人にとって誰にでも当てはまるようなことばかりなので、おそらく、あなたにも心当たりがあったのではないでしょうか。
とはいえ裏を返せば、こういった問題を自覚しつつケアしていけば、大幅にエネルギー効率が高まり、婦人科系の症状を緩和できる可能性が高まるということでもあります。
菊地屋では、これらの問題を全て同時にケアできる健康法として、「頭寒足熱・冷え取り健康法」の指導を行っていますが、この健康法は、簡単でお金もかからず、しかも心地よく取り組めるものなので、症状に心当たりがあった方は試してみることをおすすめします。
それでは次の記事で、頭寒足熱という言葉の意味、そしてこの健康法がどれだけ合理的なのか、また、それを実践することで身体がどのように変化する可能性があるのかについて具体例を挙げてお伝えしていきたいと思います。